インフレ対策してますか? ~ ロシア破綻に学ぶ

前回は激しいインフレがもたらす結果を見るために、戦後日本を例にとりました。今回は比較的最近起きたロシアにおけるハイパー・インフレのケースを見てみましょう。

1992年1月1日にソ連が解体されて誕生したロシアは、それまでの計画経済による社会主義を捨てて市場経済に基づく資本主義を採用しました。

誕生間もないロシアでは納税制度が整っていなかったため、ロシア政府は税収不足を補うために紙幣を刷りまくりました。これによって通貨ルーブルの価値は下落し物価は急上昇。また計画経済から市場経済への転換が中途半端だったため、独占企業の価格釣り上げが物価高騰に拍車をかけました。さらに税収不足を補うため、高利の短期国債も乱発しました。

ロシア誕生から4年間で物価は1800倍も上昇、紙幣1枚で買えたものが1800枚も必要になったわけです。そこで政府は1998年1月に新札を発行して旧1000ルーブルを新1ルーブルと交換することにしましたが(これをデノミといいます)、旧ルーブルが紙屑化するとともに通貨への信用は失われ、物価は高止まりしたままでした。

因みに、急激な物価上昇にも関わらずロシア人が餓死した、というニュースはほとんどありませんでした。それは、全世帯の4割が小さな畑付きの家(ダーチャ)を所有し、そこで野菜を作ったり家畜を飼ったりする自給生活が行われていたからです。ジャガイモの8割以上、野菜の7割以上がダーチャで生産され、家族や地域で助け合いながら食べることは何とかしのげたのでした。食糧の60%を輸入に頼る現代の日本とは大きく違います。

とはいえ年金生活者を中心に将来への展望が描けず自殺者が急増、また治安も最悪となり、例えばタクシーは運転手か客のどちらかが強盗に豹変し車内が修羅場になる事件が多発したようです。

1998年8月17日、ロシア政府はついに対外債務の90日間支払停止を宣言し、事実上のデフォルト宣言となりました。と同時に海外にお金を逃がさぬよう、預金封鎖を行い金庫のお金も含めてすべて取り上げました。これにより、ルーブルで預金していた国民は完全に全財産を失いました。

富裕層を含む大多数の国民が自国通貨ルーブルしか持たなかったために無一文になる一方で、新たに巨万の富を得たロシア人が出現しました。彼らは米ドルを持っていたのです。自国通貨の暴落をいち早く察知した彼らは資産を「海外の口座」で「米ドル」で保有していたため、差押えを回避した上で数千倍の価値を持ったドルを国内に持ち込みました。そして「ニューリッチ」「ニューロシアン」と呼ばれた人々は、国内の不動産を買い漁りました。国の破産によって、持てる者と持たざる者の構図が一挙に激変したのです。

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下の写真は世界借金地図です。